時代の変化に伴い、青森県の農政や土地改良に新しい動きが始まっていた。
三村青森県知事により提唱された「攻めの農林水産業」や「環境公共」の取り組みである。
攻めの農林水産業の実現には「水―いのちの源」「人―支える力」「土―育む礎」を据え、未来につなぐ三つの基盤づくりを進めながら、6つの施策を中心に進めることとし、そのひとつとして、安全・安心で優れた農林水産物を生産するため、きれいな水資源を確保することが基本であることから、「山・川・海をつなぐ水循環システムの再生・保全」が位置付けられた。
さらに、世界遺産「白神山地」「岩木山」「八甲田連峰」を源流とするきれいな水資源や約16万ヘクタールにおよぶ広大で生産力の高い農地、県土の三分の二を占める緑豊かな森林、三方を海に囲まれた豊かな漁場などに恵まれている本県が、「水循環システム」と「食料生産システム」を整えていくことによって、食料の安定供給と環境保全に貢献していくとの考えに基づいて立ち上げたのが「環境公共」であった。
最終章では、今後、環境公共および土地改良を進めていく上で、どのような課題があり、それにどのように対応していくのかを「建設から保全へ」と題してその展望を述べる。
― 「第一章 はじめに」より抜粋― |